からりと揚がった揚げ物は、食卓を豊かにしてくれる料理の代表格です。しかし家庭で揚げ物をするとなると、油の扱いに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。温度の管理や後始末の方法がよく分からず、つい敬遠してしまうという声も耳にします。実は、揚げ物の油は基本さえ押さえれば、それほど難しいものではありません。ここでは家庭で揚げ物を上手に楽しむための油の扱い方を、準備から後始末まで順を追って紹介します。
揚げ物に向いた油を選ぶ
まず大切なのが、揚げ物に適した油を選ぶことです。揚げ物は高い温度で調理するため、加熱に強く、くせの少ない油が向いています。一般的なサラダ油や植物油は、こうした条件を満たしており、家庭の揚げ物に広く使われています。風味を生かしたい料理には、ごま油など香りのある油を少し混ぜるという工夫もあります。
一方で、加熱に弱い油は揚げ物には向きません。煙が出やすかったり、独特の風味が料理に合わなかったりすることがあるため、用途に合った油を選ぶことが、おいしく仕上げる第一歩になります。
適切な油の量を入れる
油の量は、揚げ物の仕上がりを左右する重要な要素です。少なすぎると食材全体に火が通りにくく、温度も下がりやすくなります。逆に多すぎると不経済ですし、扱いにくくなります。鍋の深さに対して食材が泳ぐ程度の量を目安にするとよいでしょう。
少ない油で揚げ焼きにする方法もあり、後始末が楽になるという利点があります。作る料理や量に合わせて、油の使い方を選ぶと無駄が少なくなります。鍋は深さがあり安定したものを使うと、油はねを抑えられ安全です。
温度管理がおいしさの鍵
揚げ物の成否を分ける最大のポイントが、油の温度です。温度が低すぎると食材が油を吸ってべたついた仕上がりになり、高すぎると表面だけ焦げて中まで火が通りません。料理ごとに適した温度があるため、それに合わせて調整することが大切です。
温度の目安は、衣を少し落として確かめる方法が古くから知られています。衣が鍋底まで沈んでゆっくり浮いてくれば低め、途中まで沈んですぐ浮けば中くらい、すぐに表面で散れば高めといった具合です。慣れないうちは温度計を使うと確実で、安心して調理に集中できます。
一度に入れすぎない
早く仕上げたいからと、一度にたくさんの食材を入れるのは避けたいところです。多く入れすぎると油の温度が一気に下がり、せっかくの揚げ物がべたついてしまいます。食材を入れると温度は必ず下がるため、少しずつ揚げることが上手に仕上げるコツです。
鍋の表面に対して、食材は半分程度を目安に入れると温度を保ちやすくなります。数回に分けて揚げる手間はかかりますが、その分カラッと仕上がり、結果的に満足度の高い揚げ物になります。
油はねを防ぐ下準備
揚げ物で気になるのが油はねです。これは食材についた水分が原因で起こることが多いため、揚げる前にしっかり水気を取っておくことが大切です。次のような下準備をしておくと、油はねを抑えやすくなります。
- 食材の表面の水分をキッチンペーパーで拭き取る
- 水分の多い食材は衣でしっかり包む
- 冷凍食材は表面の霜を落としておく
- 食材は油から離さず、そっと入れる
こうした下準備をするだけで、安全性も快適さも大きく変わります。やけどを防ぐためにも、油はね対策はしっかり行いましょう。
余分な油をしっかり切る
揚げ上がった食材は、余分な油をしっかり切ることで、より軽やかでおいしい仕上がりになります。網の上やキッチンペーパーの上に置き、油が落ちるのを待ちましょう。重ねて置くと下のものがべたつくため、なるべく並べて置くのがコツです。
揚げたては温度も高いので、すぐに食べないときは風通しのよい状態にしておくと、湿気でしんなりするのを防げます。ちょっとした気配りで、最後までおいしく食べられます。
使った油の後始末
揚げ物のあとに残った油は、状態を見て扱い方を決めます。きれいな状態であれば、揚げかすを取り除いて清潔な容器に移し、再利用することもできます。ただし、油は使うたびに劣化が進みます。色が濃くなったり、いやなにおいがしたりする場合は、無理に使わず処分するのが安全です。
処分する際は、油を吸わせる市販の凝固剤や、新聞紙や古布に吸わせる方法などがあります。流しにそのまま流すのは詰まりや環境への負担につながるため避けましょう。お住まいの地域のごみの出し方に従って、適切に処理することが大切です。
衣のつけ方で変わる仕上がり
揚げ物のおいしさは、衣のつけ方によっても大きく変わります。衣は食材を包んで水分やうまみを閉じ込め、外はさっくり、中はしっとりとした食感を生み出す役割を持っています。衣が薄すぎると食材が直接油にさらされて固くなりやすく、厚すぎると重たい仕上がりになってしまいます。料理に合った衣を選び、ちょうどよい厚さにつけることが大切です。
衣をつける前に、食材に薄く粉をはたいておくと、衣がはがれにくくなります。また、衣に使う水を冷たくしておくと、さっくりとした軽い食感になりやすいといわれます。こうしたひと手間が、家庭の揚げ物をぐっとお店のような仕上がりに近づけてくれます。難しいことではないので、ぜひ試してみてください。
揚げる順番にも気を配る
複数の食材を揚げるときは、その順番にも工夫の余地があります。基本的には、味や香りの薄いものから先に揚げ、香りの強いものを後にすると、油への移り香を抑えられます。野菜から先に揚げ、魚や肉を後にするといった順番が一般的です。こうすると、最後まで気持ちよく揚げ続けられます。
また、火の通りにくい厚みのある食材は低めの温度でじっくりと、火の通りやすい薄い食材は高めの温度で手早くと、温度を使い分けるのもコツです。食材の性質に合わせて段取りを考えておくと、すべてをちょうどよい状態で仕上げられます。あらかじめ揚げる順番を決めておくと、調理がスムーズに進みます。
安全に揚げ物を楽しむために
揚げ物は高温の油を扱うため、安全への配慮が欠かせません。油から目を離さないことは基本中の基本です。加熱したまま放置すると、思わぬ事故につながる危険があります。調理中は他の作業に気を取られすぎないよう注意しましょう。万一に備えて、まわりに燃えやすいものを置かないことも大切です。
また、水分は油はねの大きな原因になります。ぬれた手で食材を扱わない、鍋のまわりに水を近づけないといった点にも気を配りましょう。子どもがいる家庭では、コンロまわりに近づかないよう配慮することも必要です。安全に気をつけてこそ、揚げたてのおいしさを心から楽しむことができます。基本を守って、安心して揚げ物を味わいましょう。
後片付けを楽にする工夫
揚げ物を敬遠する理由のひとつに、後片付けの大変さがあります。しかし、ちょっとした工夫で片付けはぐっと楽になります。たとえば、揚げる前にコンロのまわりに新聞紙を敷いておけば、油はねの掃除が簡単になります。使い終わった鍋は、熱いうちに紙で油を拭き取ってから洗うと、汚れが落ちやすくなります。
少ない油で揚げ焼きにする方法を選べば、油の処理そのものが減り、片付けの負担も軽くなります。後片付けまで見通して調理の方法を選ぶと、揚げ物がぐっと身近な料理になります。手間を減らす工夫を取り入れて、気軽に揚げたてのおいしさを楽しめるようにしたいものです。
まとめ
揚げ物の油を上手に扱うには、適した油を選び、量と温度を整え、一度に入れすぎないという基本を押さえることが何より大切です。さらに、油はねを防ぐ下準備や、揚げたあとの油切り、使い終わった油の適切な後始末まで意識すれば、家庭でも安全においしい揚げ物を楽しめます。難しそうに見える揚げ物も、ひとつずつ手順を踏めば決して特別な料理ではありません。今日紹介した基本を参考に、ぜひ揚げたてのおいしさを味わってみてください。

コメント